丈夫がいいね
(2379)画像下治療(5) 肝臓がん、ラジオ波で焼灼 兵糧攻めの塞栓術も
 カテーテルや、長い注射針のような器具を使って行われる画像下治療(IVR)はがんに対しても有効である。男女問わず罹患者の多い肝臓がんには、電極を刺して行うラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法と、カテーテルによる動脈塞栓術などがあり、金大附属病院でもがんと闘う患者の支えとなっている。
 国立がん研究センターによると、肝臓がんの罹患率は男性が29人に1人、女性が55人に1人とされる。2017年のデータでは、死亡数が多い部位で男女合わせて5位となっている。
 患部とその周辺を切除する手術はもっとも根治性の高い治療である。しかし、必ずしも外科的治療が有効とならない状態がある。肝臓がんは肝炎、肝硬変を経て発症する例が多い。こうした患者ではがんの再発リスクが高くなる上に、肝臓がんを発症している時点で肝臓が弱っていれば、手術による負担が小さくない。また、体への影響が大きい手術となるため、高齢者は長時間の手術に耐えられない恐れがある。
 これに対し、IVRは治療に当たっての負担が少ないのが特徴である。ラジオ波焼灼療法も、動脈塞栓術もこの長所を備える。
熱で細胞を死滅

動脈塞栓術に用いられるカテーテル=金大附属病院  「ラジオ波焼灼療法は簡単に言えば、熱によってがん細胞を死滅させる。定着したIVRによるがん治療の一つといえる」。金大附属病院放射線科長の香田渉放射線科学准教授は説明する。
 多くの総合病院では、放射線科医だけでなく、消化器内科医が日常的にこの治療を行っており、現場に定着している治療といえる。実際、金大附属病院でも消化器内科の医師たちが治療している。
 ラジオ波焼灼療法は皮膚を通して、電極針を肝臓に挿入することから始まる。針にラジオ波を流すと、針そのものではなく、針先の周辺部が熱を帯びてがん細胞を焼くのである。「痛みを生じるので鎮痛の処置は必要だが、手術よりも体力的な負担は少ない」と香田准教授は説明する。
肝臓内の動脈塞ぐ

 一方、動脈塞栓術は肝臓内の動脈を塞いでがんを死滅させる。香田准教授とともに、金大附属病院でIVRを担う扇尚弘助教は「肝臓がんの細胞は、動脈を好む特性がある。この特徴を逆手にとって、がんを兵糧攻めにする」と話す。
 動脈塞栓術は、止血のために使われる血管塞栓術の技術を応用している。太ももの付け根から、直径1・3ミリほどのカテーテルを挿入し、さらに直径0・6ミリほどの極細のカテーテルを肝臓の奥深くまで送り込む。カテーテルから、ゼラチンでできた極小のスポンジを血管内に入れ、意図的に血管を詰まらせる。扇助教は「切除に比べて、肝臓を温存しやすい。しかも追加で治療も行える点もメリットと言える」と語る。
 金大附属病院では、がんへの対応含め、放射線科医によるIVRが年間約800件行われている。現場には、香田准教授と扇助教の指導を受けながら、若い放射線科医たちも立つ。「優れたIVRは、治療の選択肢を広げることにつながる。次世代を育てていくのも、医師の大事な仕事だ」。放射線科医たちには多くの役割が求められている。