丈夫がいいね
(2293)睡眠・覚醒障害 リズム乱れて昼夜逆転 2種の治療薬で改善
 寝ている時間や起床、就寝の時刻を把握するチェックシートがあることを前回紹介した。曜日によって睡眠時間に差があると、睡眠のリズムは安定しない。そして、このリズムがどんどんおかしくなれば、自身ではどうにもできない症状が起きてくる。
「社会生活送れない」

睡眠・覚醒障害に注意を呼び掛ける山口医師=金沢市内  石川県内に住んでいた20代の男子大学院生は研究や娯楽などで夜更かしが続き、気付くと、午前4時をすぎないと眠れなくなっていた。
 目覚める時刻は当然、早くても昼前に。「このままじゃ、まともな社会生活を送れなくなる」。病院を訪れると「睡眠・覚醒相後退障害」と診断された。
 「起きたり、眠ったりする時間が普通の人と比べて後倒しになった状態。いわゆる昼夜逆転で、自己努力だけでは改善が難しく、投薬治療が必要になる」。こう説明するのは、金大名誉教授で松原病院(金沢市)名誉院長の山口成良医師だ。
 山口医師によると、睡眠・覚醒相後退障害は、脳内で体内時計の機能を果たす「視交叉上核(しこうさじょうかく)」が狂うことで引き起こされるという。
 だが、この「時計」は、そもそも私たちが生活で目にする「時計」と違いがある。山口医師はこう指摘する。「地球の自転による1日は、24時間である。しかし、生き物としての人間のリズムはぴったり24時間ではなく、『約1日』。この誤差がリズムに影響する」。
朝日でリセット

 体内時計は朝日を浴びることで「朝」を認識し、誤差を修正している。しかし、昼間に起きるような生活を続けていると、昼を「朝」と勘違いし、昼夜が逆転した生活が習慣づけされてしまう。
 前述の大学院生はどうしたのだろう。一般的には1種類の治療薬を飲むことになるが、山口医師の提案で、通常の治療薬に加えて、眠り始めるときだけにごく短時間、効果をもたらす治療薬の2種類を服用した。朝日に当たるようにしたこともあり、大学院生はごく短期間で朝起き、夜眠る生活を取り戻した。
 睡眠リズムが崩れる症例には「昼夜逆転」のほか、引きこもりなど、太陽光を浴びないことによって、体内時計の「誤差」が積み重なって、毎日のように就寝時刻が少しずつ遅くなっていく例もある。
 この「非24時間睡眠・覚醒リズム障害」や睡眠・覚醒相後退障害を含めた多様な症例はまとめて、「概日リズム睡眠・覚醒障害」と呼ばれている。
 山口医師は、これらの症例の治療例を、17日に都内で開かれる不眠症に関する研究会で報告する予定だ。「今後も、こうした症例に悩む若者が増える可能性は十分にある」と警鐘を鳴らす。
 予防するには、起床と就寝の時刻をしっかり決め、生活リズムを乱さないようにすることが欠かせない。それでも発症したときには専門医を早めに受診するのがよい。
 「人間は夜行性の生き物ではない。太古の時代から、昼間の活動を通じ、文明を発達させたことを忘れてはいけない」と山口医師。日中の活動を充実させるためにも、夜更かしをし過ぎずに眠ることが欠かせない。