丈夫がいいね
(2397)血管性認知症 階段くだるように症状が悪化 「脳卒中」を防ぐのが鍵
 認知症につながる病気で、アルツハイマー病に次いで患者が多いとされるのが「血管性認知症」である。この病気は「脳出血」「脳梗塞」をはじめとする脳血管の障害、すなわち「脳卒中」が主な原因であり、起こる部位で症状が違う。さらに脳卒中を繰り返せば、機能は「階段状」に低下していく。
 金沢市内の70代男性は以前から軽度の脳梗塞をたびたび起こしていた。薬を処方されていたが、ときおり服用を忘れる上に好きなタバコやお酒をやめられなかった。
 「たまたま起きただけや」。気に掛けなかったが、そのうち居眠りが増え、服がうまく着られなくなった。その後、やる気も失われ、自宅にこもりがちに。病院を受診すると、医師から「血管性認知症が疑われる」と告げられた。
細胞損傷で認知症に

 血管性認知症は脳の血管が詰まって血流が途絶えたり、血管が破れて出血したりすることで、神経細胞が損傷し、認知機能が低下することで起きる。脳内の血管が詰まって起きるのが「脳梗塞」、脳内の血管が破れるのが「脳出血」である。
 脳は部位ごとに担う機能が違う。脳出血や脳梗塞は脳内の血管ならどこでもリスクがある。脳神経内科学を専門とする金大大学院医薬保健学総合研究科の山田正仁教授は「認知症で代表的な『記憶障害』だけでなく、飲み込みにくい、しゃべりにくいといった症状を訴える患者さんやうつ状態になる患者さんもいます」と解説する。
 脳卒中は直ちに生命の危機に及ぶ例がある一方、脳卒中の大きさや起こる脳内の場所によっては麻痺(まひ)や感覚の障害をほとんど自覚しない場合がある。気付かぬうちに脳卒中を繰り返し、血管性認知症が引き起されることがある。
 また、一度脳卒中を起こした脳は再発しやすい状態になっていることが多い。対策を怠り、血管性認知症となってから、脳卒中の再発を繰り返せば、認知症の症状が急に悪化していく。山田教授は「アルツハイマー病はなだらかな下り坂のように認知機能が低下するが、血管性認知症の場合、がくんがくんと階段をくだるように低下する」と説明する。
 脳卒中は年齢を重ねれば、誰しも発症しやすくなる。厚生労働省によると、脳卒中は国内の通院患者が118万人とされる。
生活習慣を見直す

 ただ、山田教授は「あらかじめ生活習慣を見直せば、脳卒中はもちろん、結果として血管性認知症のリスクも下げられる。また脳卒中が起きても、さらに再発を防ぐように、原因に応じて適切に対応することが鍵になる」と話す。
 脳卒中の予防は、バランスの取れた食生活や適切な運動、睡眠の習慣が有効である。ストレスを抱え込まず、過度の飲酒や喫煙を避けたい。高血圧、糖尿病などの生活習慣病は脳卒中の重大なリスクである。それらを防ぐよい生活習慣を心掛けることは脳卒中を起こしてからでも有効で、服薬とともに、弱っている血管への負担を減らせる。
 脳の神経細胞は一度壊れてしまえば、元には戻せない。ただ、予防したり、低下を防いだりする手だてがあるのなら「どうせ認知症は治らない」と思わずに、取り組むようにしたい。