丈夫がいいね
(2211)患者会 実体験聞き、やる気高め 病院回って設立依頼
 生涯にわたって食事や運動療法を続ける糖尿病患者が、やる気を保ち続けるには、患者同士で交流することも効果的だ。同じ境遇にいる人が励まし合えば、治療を続ける力になるし、仲間の実体験を聞けば自身の取り組みの参考になるからだ。このため、病院や地域ごとに糖尿病の患者会が結成されている。
知識を思い出す

糖尿病に関するイベントで体験談を話し合う患者や医療関係者=金沢市内のホテル(石川県糖尿病協会提供)  「患者会に入って糖尿病治療の大敵である暴飲暴食が減りました。患者会のイベントで、ほかの患者さんの話から刺激を受け、自分も治療を頑張ろうと思ったからですね」。石川県糖尿病協会の早戸武志会長(74)=小松市=がこう振り返る。
 大手機械メーカーの営業をしていた早戸会長は50歳の頃に糖尿病と診断された。3年後にできた金沢赤十字病院の患者会「日赤のぞみ会」の設立時からのメンバーとして、年4〜5回あるウオークラリーやバス旅行、講演会などに参加し、参加した患者同士で食事や運動のこつを学び合った。
 すると、医師から一度聞いただけで忘れていた知識を思い出し、実践できることが多くなった。参加者の体験談を参考にして、いい習慣を続けていくことで、症状は改善していった。一方、治療せずに放置したら腎症が悪化して人工透析が必要になってしまった患者の話を聞くこともあり、身につまされたという。
 他の病院の患者会でも、治療に役立つ活動が行われている。
 城北病院(金沢市)の「みのり会」は毎年11月、ホテルランチを企画している。患者は栄養士とシェフが考えたコース料理を味わう。エネルギー量を抑えた料理を味わった参加者からは「工夫すればおいしい食事を楽しめることが分かった」と喜ぶ声が聞かれたという。
 地域医療機能推進機構(JCHO)金沢病院の「つむぎの会」では、病院の夏祭りにブースを出展し、一般来場者向けに血糖測定を体験してもらい、糖尿病に関心を持つよう呼び掛けている。
 こうしたイベントには、医師や看護師らが参加することが多く、早戸会長は「診察室よりも気軽に会話でき、距離がぐっと縮まる」と指摘する。
会員は患者の数%

 一方で、患者会には課題もある。全体の患者数と比べると、加入者が少ないことだ。
 石川県には患者会が約20団体あり、会員総数は約700人いる。糖尿病患者約2万6千人に対する比率は2・7%にとどまる。2年後までに40団体、千人に増やそうと、早戸会長らが患者会のない県内の基幹病院を中心に回って設立を依頼している。
 早戸会長は「患者会がなければ患者同士のつながりが生まれないので、病院に理解を求めていきたい」と強調する。
 富山県では患者約3万1千人に対して患者会の会員は約1170人で比率は3・8%。担当者は「会員の高齢化が進んでおり、患者会の運営は難しくなっている。イベントで若い患者に加入を呼び掛けている」と話す。
 医療者が患者に付ききりで指導することはできず、患者自身の生活が、糖尿病の進行を防ぐかどうかの分かれ目になる。患者の意識を高め、息の長い治療につなげるには、仲間と励まし合うことも重要なのだ。(第66部おわり)