丈夫がいいね
(2301)レム睡眠行動障害 眠っているのに体が動く 寝言に注意、認知症に進展
 人間は睡眠時に脳が記憶を整理したり、シミュレーションを行ったりしているとされるレム睡眠と、脳が休息を取るノンレム睡眠を繰り返していることが知られている。このうち、レム睡眠時に体が動いたり、寝言が多くなったりする病気がある。この「レム睡眠行動障害」は後に認知症に進むケースがある。
 富山県内に住む60代の男性は定年後、妻と2人で悠々自適に暮らしている。幾つか持病はあっても、大きな病はない。しかし、妻から「最近、よく寝言が聞こえる。体が動いているときもあるよ」と言われた。
 妻によると、「あっちにいけ」「ちょっと待て」などと話しており、よく聞き取れないこともある。ただ、どうやら楽しい夢を見ている様子ではなさそうで、寝言に合わせるかのように体を動かすことがあるという。不気味に思った男性が病院を訪れると、レム睡眠行動障害が疑われると診断された。
 「無自覚に体を動かす。立ち上がって歩き回ることさえある。放置していると、けがにつながる恐れがある」。雨晴クリニック(高岡市)副院長の坪田聡医師は説明する。
 人間は、レム睡眠時に夢を見ているとされている。加えてレム睡眠時には、筋肉を弛緩(しかん)させる命令が出ているため、本来、体が動くことはない。しかしこの病気になると、その仕組みに不具合が生じ、夢の中の行動を、そのまま体に反映してしまうのだ。
隣の妻を殴る

レム睡眠行動障害では、睡眠時に激しく手を動かすこともある  例えば、誰かとけんかしている夢を見て、隣で眠っている妻を殴ってしまう。サッカーの夢であれば、ゴールを決めようとして、近くに眠る子どもを蹴り飛ばしてしまう。
 この病気は原因が明らかでないケースもあるが、脳や脊髄に連なる中枢神経系の疾患とも考えられている。加えて、坪田医師は「こわいのは患者の中に、後にレビー小体型認知症を発症する人がいるとの報告があることだ」と訴える。
 レビー小体型認知症は神経細胞にできる特殊なタンパク質「レビー小体」が、大脳皮質や脳幹に多く出現し、神経細胞が減少することで生じる認知症で、根本的な治療法がない。坪田医師によると、現在、この病気の診断基準に、レム睡眠行動障害の有無も含まれている。
 坪田医師は「そばで暮らす家族のためにも、レム睡眠行動障害にしっかりと向き合うことが大切だ」とする。
薬、生活改善で治療

 治療では、まず睡眠ポリグラフで睡眠時の脳波や筋肉の動き、血中の酸素濃度などを調べる。その上で、患者の睡眠時に異常行動を抑えるとされる、抗てんかん薬や、体内に存在し、睡眠を促す物質「メラトニン」と同じ役目を果たす薬を服用する。睡眠リズムを意識した生活改善にも合わせて取り組むと、さらに良い。
 またこの異常な行動が出る場合には悪夢を見ているケースが多いとの指摘もあり、患者本人がストレスをため込まないようにすることも大切だ。
 レム睡眠行動障害は中高年の男性に目立つとされる一方、若い男性や女性が発症するケースもある。悪夢を正夢にしないように、睡眠時のちょっとした変化を見逃さないようにしたい。