丈夫がいいね
(2371)核医学(上) 認知症、種類見極めに貢献 体内で放射線活用
 コンピューター断層撮影(CT)やエックス線検査で使われる放射線は、外から当てる以外の活用策がある。放射線を出す薬を体内に入れて病気を見つけ出したり、治療したりするのが核医学である。金大附属病院には、国内トップクラスの人員と施設で、病気と闘う患者を支えている。
 「薬から出る放射線は極めて微量で人体への影響は、ほぼない。しかも、薬は飲んだり、注射したりすればよく、患者さんの負担が小さい」。同病院核医学診療科の稲木杏吏助教は、メリットを説明する。
機能の変化とらえる

認知症の種類を判別する核医学診療科の医師たち=金大附属病院 仕組みは極めてシンプルである。病巣や血流の多い部位が取り込みやすい物質に放射線を出す薬を付け、体内に入れる。ガンマカメラと呼ばれる機器で外から放射線をキャッチすることで病巣の位置や血流を把握するのが診断、病巣内部に取り込まれた薬から放つ放射線で患部のみを直接攻撃するのが治療となる。
 稲木助教はさらに「磁気共鳴画像装置(MRI)やCTは病気に伴う形の変化をとらえるのが得意。一方、私たちは病気で部位が持つ機能がどう変化したかをとらえている」と話す。例えば脳の場合、神経内科医ら認知症を診る医師の診断に貢献している。
 国の調査では、85歳以上の4割、90歳以上の6割が認知症とされている。種類はアルツハイマー型やパーキンソン病、レビー小体型などさまざまで、いずれも根治は難しい。それぞれの特徴的な症状が出ていれば、外形的に診断を下すこともできるが、初期の段階であれば、判別が難しい場合がある。
 さらに、進行を遅らせる薬や周囲に求められる接し方に違いがあるため、正確な判別がポイントになる。「核医学なら、まだ脳の形に変化がなくても、脳の機能の変化を把握できる。このデータが診断の際、補助的な役割を果たしている」と稲木助教は話す。
 前述の認知症のうち、アルツハイマー型とレビー小体型はMRIでは脳の形から違いを把握することは難しい。ところが、脳内に集まる特性のある物質に、放射線を放つ薬を付けて体内に入れると、脳内の違いが見て取れる。
血流の低下に違い

 認知症の場合、脳細胞の機能が衰えることに従い、活動するためのエネルギーとなる血液の流れが低下する。そして低下する部位に変化が見られるのだ。特にレビー小体型認知症の場合、頭部の後側にある、後頭葉の血流が下がってくる特徴が見られることが多い。
 血流以外でも、機能の変化から、診断の材料が得られる。
 レビー小体型認知症では、情報伝達の役目を担う脳内の物質「ドーパミン」が低下するため、関連する「ドーパミントランスポーター」の機能が弱くなる。これに対し、アルツハイマー型認知症ではこの変化は見られない。画像で見ると、一目瞭然。脳内の線条体といわれる場所がアルツハイマー型は正常に光っているが、レビー小体型では弱々しい光となる。
 寿命の延伸で、認知症の患者はさらに増える恐れがある。そして、核医学を必要とする機会も増える可能性がある。