丈夫がいいね
(2355)ギャンブル障害 契機探し、別の行為に置換 「意志と支援」も鍵
 競馬や競輪をはじめとした公営ギャンブルやパチンコ、最近では課金を伴うオンラインゲームなどがやめられなくなる「ギャンブル障害」。多額の借金に苦しむ場合もあり、治療には、本人の意志と家族の支えが欠かせない。
仕事していても

 「障害といっても、仕事をほったらかしにして、のめり込む人ばかりではない。意外と仕事をしながらも、ギャンブル障害である人は少なくない」。石川県立高松病院(かほく市)の栃本真一副院長は説明する。
 ギャンブル障害は、ギャンブルに依存した状態だ。依存と聞くと、アルコールや薬物が浮かぶが、対象は物質だけでなく、特定の行為も当てはまる。行為の場合は「行動嗜癖(しへき)」と呼ばれており、ギャンブル障害は、世界保健機関が先日新たに疾病分類に加えた「ゲーム障害」に近い心の病気である。
 人間の脳には、物事に対する意欲に関係するとされる「報酬系の回路」がある。これは「給料をもらっているから、やる気を出して仕事を頑張ろう」などの思考に関連するが、ギャンブル障害ではギャンブル以外では報酬系の回路が働かなくなってしまう。
 「アルコールなど物質への依存症でも同様の状態になると考えられている。特定の物質か対象しか、生きる目的や楽しみがなくなっている」と栃本副院長は説明する。
 中高年のある男性はインターネットを通じて競馬を楽しんでいた。職場のストレスを発散する唯一の趣味。負けを取り戻そうと、金額は徐々に大きくなり、家族に内緒で周囲から金を借りるように。軍資金となる仕事だけは続けていたが、借金を家族に知られ、家族に伴われて病院を訪れた。
 診断はまず心身の状態の確認から始まる。体ではギャンブルにのめり込み過ぎるあまり、食事や睡眠が不十分でないか、精神ではうつ病や社会不安障害、対人恐怖症、発達障害などがないかを調べる。
セルフモニタリング

 治療は、本人の意志の下での認知行動療法が基本となる。自分の行動を記録する「セルフモニタリング」でギャンブルへの衝動が起こる引き金を探るのだ。例えば▽財布にお金があるとき▽職場で失敗し、落ち込んだとき▽時間があまったとき−などで、引き金をなるべく避けるように心掛ける。また、同時に、深呼吸や飴をなめる、ストレッチなど、ギャンブルに置き換わる行動で衝動を抑える習慣付けに取り組む。
 栃本副院長は「自助グループに参加し、経験を話し合って自身を省みるのもよい」と話す。さらに、金銭管理には家族の協力も欠かせない。家族も病気であることを正しく理解し、上から目線や否定的な発言を避けるとよい。
 ギャンブル障害はふとしたきっかけで再発する。多くの趣味を持ったり、家族や交友関係を深めたりすることが予防につながることもある。限られた人生をギャンブルだけにとらわれないようにしたい。