丈夫がいいね
特別編・コロナに備えて(13)(2453)巣ごもりの注意 筋力、認知機能が低下 8項目のチェックを
 「こんなに衰えてしまうとは」。金沢近郊にある病院の勤務医は、車いすに乗った高齢男性を前に息をのんだ。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、認知症を患う男性は定期健診を見送っていた。病院にやってきたのは、2カ月ぶりである。
 男性のアルツハイマー病は初期で、治療により進行は抑えられていた。加齢に伴って身体機能も衰えていたが、それでも、つえを使えば一人で歩くことはできていた。
 それが今、男性は医師を認識できないほど、認知症が進んでいる。そして妻に車いすを押してもらわないと、移動できない。
2週間で7年分

 妻によると、男性は3月初旬から、外出を避け、手洗いの徹底など感染予防対策をとってきた。一方で、家では終日テレビを見るだけの生活。ご飯も簡単に済ませていた。
 「確かに、コロナを防ぐことはできているが…。持病が悪化しては、本末転倒だ」。医師は肩を落とした。
 自宅を中心とした生活を送ることは感染予防のポイントである。しかし、ただこもっていればよいというわけではない。男性のような認知症の発症や悪化、筋力の低下も防がなくてはいけない。
 高齢医学が専門の森本茂人金沢医科大教授によると、高齢者の場合、2週間寝たきりの生活は、7年分の筋肉低下に相当する。高齢者の巣ごもり生活は、体力を大きく衰えさせる危険があるのだ。
 その対策として、森本教授は、8項目を挙げる。東京都健康長寿医療センターが掲げている「本日の8ミッション」を参考に、詳しく説明しよう。
 1つ目は「膝伸ばし」である。椅子に座り、片膝を伸ばし、また元に戻す。10〜20回を目標にする。
 2つ目は水分補給で、1日にコップ8〜10杯が目安だ。
 3つ目は口を動かす「あーんー体操」で、食事前がよい。4つ目は日付の確認で、きちんと声に出す。5つ目は交流で、離れて暮らす人に電話をする。6つ目は健康管理で持病があるなら、治療を続ける。
 背伸びが7つ目。両手を組んで10数える。次に右に倒して10数え、逆もやる。
 最後は食事で、タンパク質をしっかりとる。目安は、肉や魚、乳製品を片方の手のひらに乗る程度、食べる。
近所で声掛け

 「8項目ができているか、毎日チェックしてほしい。一人暮らしなら、家族が電話で確認したり、近所で声を掛け合ったりするとよい。8項目はコロナ終息後も役立ちます」と森本教授は助言する。
 「コロナであれ、認知症であれ、最も怖いのは、自分の体への無関心や無反応だ」。森本教授は、年齢に関係なく、健康を守る一番手は自分自身であると認識してほしいと呼び掛ける。感染予防とともに8項目を参考に、自分の体としっかり向き合おう。