丈夫がいいね
(2438)緑内障(1) 患者の9割、変化に気付かず 40歳超えたら検査を
 金沢市の会社経営の50代男性は、いつものように走り慣れた道を愛車で進んでいた。遠くの信号が赤に変わるのが見え、ブレーキを踏んだ。
 信号待ちの間、仕事のことを考えていると、後ろからクラクションを鳴らされた。
 「しまった、青か」と思ったが、視界に信号は入っていない。首を上げて、初めて青信号が目に飛び込んだ。
 「これは、おかしい」。男性が頭に浮かんだのは、母と叔母がかかった目の病気「緑内障」である。二人はともに、「何だか物が見えにくくなった」と話していたからだ。
 翌日、近くの眼科で見てもらうと、男性が懸念した通り、緑内障と診断された。
 「早めに見つかってよかった」と前向きに考えていた男性だが、医師からは思わぬ言葉を告げられた。
 「早期ではなく、中程度まで進行している。まずは点眼薬から始めて、必要があれば、レーザー治療も行いましょう」。男性は、言葉を失った。
脳が「見える」補正

緑内障で視野が欠けるイメージ 杉山和久金大教授監修  緑内障は、目からどんどん視野を奪っていく恐ろしい病気である。やっかいなのは本人が気が付かないうちに進行していることだ。ある調査では、緑内障と診断された人のうち、約9割が視野の変化を実感していなかった。
 金大医学系長で眼科を専門とする杉山和久教授は「視野の変化は徐々に進んでいく。しかも真っ暗になるわけではないため、おかしいと分かったときは、病状がかなり進行している」と警鐘を鳴らす。
 なぜ見逃してしまうのか。
 理由の一つは、人間には左右二つの目があることだ。緑内障の視野変化は、両方の目で同じように発生し、進行していくわけではない。片方の視野に欠けた部分があっても、もう一方の目が見えていれば、気付かない。
 さらに人間の脳の優れた機能も影響する。脳は、視野の一部にもやがかかっていたとしても、それを見えているように補正できることがある。「症状としては痛みもないため、ごく初期の段階だと、緑内障は見逃されてしまう」と杉山教授は説明する。
 早い段階で変化をつかまえるには、眼科で検査を受けるのが最もよい。緑内障は通常、眼圧が高くなり、眼底にも変化が生じる。眼圧は人間ドックの項目にもあり、指摘されたときには、一刻も早く眼科にかかるのがよい。
7割は眼圧が正常

 ただ杉山教授はここでも注意を促す。「日本人の場合、緑内障の患者の7割は、正常眼圧緑内障だとされている」
 このため、緑内障かどうかを知るためには、眼圧に加え、眼底や視野の状態を調べるなど複数の検査を受けるのが望ましい。身近な眼科医院でも検診を行っており、杉山教授は「40代以上になると、20人に1人が発症する。40歳を超えたら、年に1度はぜひ検査を受けてほしい」と助言する。
   
 スマートフォン画面の見過ぎなど、現代人は目を酷使することが多い。第81部は「目を健やかに」と題し、気になる目の症状や病気を紹介する。