丈夫がいいね
(2337)肺がんへの阻害薬 抗がん剤併用で5割に効果 北陸で400症例を蓄積
 肺がん患者のうち、免疫チェックポイント阻害薬の効果がみられる患者は約4割だ。肺がんでも、他の部位のがんと同様に、効果の及ぶ患者を広げようとする取り組みが行われている。金大附属病院呼吸器内科では、既に有効な治療法の一つ「抗がん剤」と、阻害薬を併用する治験が始まっている。
 「二つを組み合わせることについては、『本当に効果があるのか』との見方があった。だが、臨床の現場では有効な方法の一つではないかと考えられていた」。こう話すのは、金大附属病院呼吸器内科の笠原寿郎臨床教授だ。
 懐疑的な見方があったのは、抗がん剤ががん細胞を殺す副作用として、患者の免疫細胞も殺してしまうことと、阻害薬によるがん免疫サイクルの好循環が相反するのではないかと予測されたからだ。
 結果は違った。抗がん剤と阻害薬を1カ月に1回のペースで投与したところ、およそ5割の患者に何らかの効果があった。これは、阻害薬のみの4割を上回る。
肺とリンパの腫瘍小さく

肺がんの免疫治療の現状を説明する笠原臨床教授=金大附属病院 中高年の男性は、肺がんがステージ4まで進み、首回りのリンパ節に転移した。激しい痛みこそなかったが、リンパ節が大きく肥大し、首を動かせないほどになった。余命は「1年程度」とみられたが、治験としてこの治療を受けたことによって、肺とリンパ節の腫瘍は徐々に小さくなっていった。
 二つを組み合わせた治療法はどのような仕組みで効果を挙げているのか。笠原臨床教授によると、二つの理由が考えられるという。
 一つは、抗がん剤でがん細胞が死滅することで、がん免疫サイクルの好循環に必要ながん抗原が多数生まれる。さらにがん細胞に発現するタンパク質「PD―L1」に関連し、がん免疫サイクルを動かす阻害薬も働く。車のブレーキを解除すると同時にアクセルを強く踏むことで、車が急加速する状態になるのだ。
 もう一つは、抗がん剤に反応したがん細胞自身が、がん免疫サイクルを止めようと「PD―L1」を大量に発現。これにより阻害薬が反応しやすくなる。遠くにジャンプするために、足だけで踏み切るのではなく、体全体を使って反動をつける状態にするのだ。
 いくつかの有効策を組み合わせて、治療効果を高める研究はさらに進化する可能性がある。
併用をさらに研究

 金大附属病院では今後、抗がん剤と免疫治療を組み合わせた治療法について、途中から抗がん剤を減らす方法を治験として調べるほか、ある程度治療が進んできたところで、抗がん剤から分子標的薬に切り替え、免疫治療と組み合わせる方法が治験として実施される予定だという。
 世界各国では、抗がん剤だけでなく、免疫治療に外科的治療や放射線治療を組み合わせた研究が進んでいる。笠原臨床教授は「患者ごとに、免疫治療だけで十分なのか、ほかの治療法と組み合わせた方法がよいのかを見極め、判断していくのが今後の課題になる」と話す。既に金大附属病院と北陸の関連病院には共同研究で400以上の症例が蓄積されている。解析が進むことで、人類ががんを克服する時代が近づいてくるのかもしれない。