丈夫がいいね
(2285)インフルエンザ ワクチン接種は家族全員 集団予防で大きな効果
 秋が深まってくると、こわいのはインフルエンザだ。毎年、ワクチン接種が推奨される一方、中には「どうせ受けても意味がない」とかたくなに拒む人もいるだろう。しかし、感染症の専門家はワクチンの接種が重症化を防ぎ、集団接種がより備えを強固にすると指摘する。
 「インフルエンザのワクチンは集団接種によって予防の効果を大きくできる」。金大非常勤講師で加賀市のながたクリニック院長の永田理希医師は語る。これは「集団予防効果」「集団免疫」とされ、最も身近な単位が家族全員での接種となる。
 では「打ったのに、インフルエンザにかかってしまった」との声があるが、ワクチンを必ず接種することにはどんな意味があるのか。
 永田医師はワクチン接種が「乗車時のシートベルト着用と同じような意味がある」と指摘する。事故の際、重傷を防ぐためにも、シートベルトの着用はいまや常識。同様にワクチンにはインフルエンザにかかりにくくするとともに、仮に感染しても重症化を防ぐ役割があるのだ。
症状出ず「勘違い」

日本では4種類に対応したワクチンが導入されている  では集団接種が望ましいのはなぜだろうか。実はインフルエンザに感染した場合、必ずしも高熱をはじめとした症状が出ると限らない。永田医師は「つらい症状が出ないため『自分はかかっていない』と勘違いしている人がいる。その人がウイルスを周囲に広めてしまうことがある」と説明する。
 3世代の家族。ワクチンを未接種でインフルエンザに感染したものの、症状が出ていない若い父親や母親が家に帰ってくる。一家だんらんを通し、祖父母や小さな子どもに感染が広がる。この場合、高齢者や子どもはワクチンを接種済みでも抵抗力がもともと弱いことがあり、結果として重症化してしまう恐れがある。さらに妊婦や乳幼児、持病のある人は特にリスクが大きくなる。集団接種には、こうした抵抗力の弱い人への感染を防ぐ意味がある。
 「家族で車に乗っていて事故に遭った際、シートベルトを着けていない人がいれば大きなけがを負うことがある。しかし、家族皆で着用していれば、リスクが軽減できる」。永田医師は利点を強調する。
 さらに集団接種は範囲を広げれば広げるほど、感染拡大を防げる。永田医師によると、学校のクラスの6割以上が接種すれば学級閉鎖を大幅に減らせるとの報告があり、アメリカでは近年、かつて日本の学校で行われた「集団接種」が注目されているという。
ワクチンも進化

 インフルエンザの厄介な特徴として毎年、微妙に異なるウイルスが流行する点があるが、これに対抗するためワクチンも進化している。国内では2015年度からA型2種類、B型2種類の計4種類に対応したワクチンが導入され、カバーできる範囲は広がっている。
 このワクチンを生かすためには集団予防効果が重要であり、永田医師は「唯一かつ、一番の予防策は集団接種。職場単位や保育所単位、学校単位でも呼び掛け合ってぜひ受けてほしい」と訴える。
 ワクチンの接種は自分だけでなく身近な人を守る。そしてその逆もあり得ることを忘れないようにしたい。