丈夫がいいね
(2510)口は災いのもと 口臭(上) 原因ガスの特定が第一歩 背後の病気、臭いで解析
 コロナ禍にあってマスク着用を強いられる日々の中、ふと自分の口臭が気になった人は多いのではないだろうか。
 北陸でいち早く口臭専門外来を設け、数多くの診療実績を持つ白根(しろね)歯科クリニック(金沢市伏見新町)の白根和明院長は「以前は家族など身近な人に指摘されて来院するケースが多かったが、マスク生活の影響で口臭を自覚して受診する人が明らかに増えた」と話す。
 口臭は、単なるエチケットの問題ではない。白根院長が「たかが口臭、されど口臭」と受診の重要性を力説するのは、臭いのもとを手繰ることで、より深刻な口腔(こうくう)トラブルや全身疾患が見えてくる場合が少なくないからである。
測定器で調べる

コロナ禍に伴うマスク生活によって、口臭を自覚する人が増えている 口臭とひと口に言っても、その種類や原因はさまざま。診察では、まず口臭測定器で患者の呼気に含まれるガスの成分を調べる。主な3種類のうち、特に多いのが硫化水素で、一般的に「卵が腐ったような」と形容される臭いが特徴だ。
 白根院長によると、硫化水素は口の中の細菌が食べかすを分解する時に発生するガスであり、歯磨きなどの口腔ケアが不十分な場合に生じやすい。誰もが口の中に細菌を持っている以上、多少は出るガスであり、一定のレベルを超えた時に病的と判断される。
 さらに強い悪臭を放つのが「メチルメルカプタン」というガスで、こちらは歯肉に炎症が起きた際に生じる。白根院長は「歯周病が進行した段階で生じるガス」と説明し、単に口の中が汚れている状態にとどまらず、歯茎などが細菌に侵されていることを示す「サイン」だ。
 もう一つが「ジメチルサルファイド」というガス。これは全身疾患の兆候であり、「胃や肝臓、腎臓などに問題がある場合が多い。このガスが検出されたら、内科で内臓を精査してもらうことになる」(白根院長)。めったに出ないが、最も危険な口臭といえる。
 これらの口臭は、「ドブくさい」「アンモニア臭」「オナラの臭い」など、人によって感じ方に差異があり、自己診断は難しい。測定器の分析と専門医のかぎ分けが必須であり、ガスの種類から原因を絞り込むことが口臭治療の第一歩といえる。
 硫化水素タイプの口臭を予防するためには、歯磨きに加えて「舌磨き」が大切であることも周知されてきている。食べかすや細菌の塊が舌にこびりつき、白いコケ状になった「舌苔(ぜったい)」は最大の口臭発生源ともいわれ、歯垢(しこう)とともに除去しておきたい。
「ゴシゴシ」は禁物

 ただ、歯を磨くのと同じ強さでゴシゴシとこそげ落とすのは禁物だ。白根院長は「舌が傷ついて炎症を起こせば、メチルメルカプタンが発生してしまい、かえって口臭がきつくなる恐れもある」と注意を促す。のど奥まで歯ブラシを差し込まず、見える範囲の舌を、奥から手前に優しくこする程度で十分だという。
 原因を見誤り、的外れな自助努力を続けたところで口臭は改善されない。何かと不便なマスク生活だが、口臭と向き合うきっかけを与えてくれていると捉え、無自覚な口のトラブルとサヨナラするための一歩を踏み出したい。